夢日記

書き留めた夢を文章にして公開しています

210408

 6畳ほどの部屋に友人と2人でいると、隣の部屋に電話をしながら入ってくる男がいた。男が危険な人物であることは私も友人も知っており、2人で顔を見合わせ、どうしようかと相談する。ひとまず私はベランダから逃げられるかどうか試してみることにした。ベランダから壁伝いに隣の敷地へと飛び移り、うまく外に出ることができたが、友人とははぐれてしまった。友人は男に捕まってしまったかもしれないという不安が頭をよぎった。

 男が私のことを知っているかは定かでないが、友人を助けるため、自分は男と無関係であることを装い、一眼レフで写真を撮るのが趣味なだけの人間として、カメラを携えて男へ接近するという方法を考えた。カメラを取りに行ったりバタバタしているうちに夜になり、渋谷の大型ビジョンのような巨大スクリーンが街に現れた。男と男に同伴する女が映っており、女は私がおいてきてしまった友人ではないものの、やはり不本意に男のもとに居させられているようであった。

 女は心底男を毛嫌いしているが、そのことを少しも悟られないよう、親密な様子で男と接している。しかし男はそんな女の努力も知らず、女が少し動いただけで怒鳴り散らし、瓶に入った薬のようなものをあおっている。瓶の中身が空になると、そばにいたらしい研究室の同期に、新しい瓶を持ってくるよう男は命じる。すると彼女は私のもとへとやってきた。私は道路から巨大スクリーンを眺めていたが、彼女がやってきてはじめて、道端に瓶が何本か転がっているのに気付いた。

 彼女は瓶を拾い上げ、中に薬が入っていることを確かめると、道路沿いの壁に等間隔で設置されていた水飲み場のような器の中に、1滴ずつ薬を垂らしていった。すると器の中の水が次々と光を放ち始めた。光の色は器によってさまざまで、夜の闇の中で器の周囲だけぼんやり明るくなっている風景や、その中を駆けていく彼女の姿があまりに綺麗だったので、今こそ写真を撮るべき時!と意気込み、カメラを構えた。

 さっきまで確実に夜だったはずなのに、シャッターを押して顔からカメラを離すと、辺りはすっかり明るくなっていた。壁に取り付けられた器から発せられた光は、もう周囲の光に溶け込んで消えてしまった。

 私はあたり一帯をふらふらと歩きだした。交差点に差し掛かると、学校や会社に向かう人びとがこちらへ向かってたくさん歩いて来た。私は人の流れに逆らう勇気もなく、方向を変えて彼らとともに大学のような敷地の中へ入っていった。じわじわと悔しさが募り、さっき撮り逃がしたあの光景をしのぐ美しい被写体はないかと、泣きながら探し歩いた。

 金色のぶちのねこが歩いている!?と思ってよく見ると、ところどころ金色の毛糸で着飾られた、お正月仕様の白いねこであった。ねこの首にはお年玉袋がついた赤い紐が括り付けられており、そばにいた人が立ち止まって、お年玉袋を紐から外していた。どうやら今日は元旦のようで、「あけましておめでとう」と書かれたプラカードや、年賀状を渡し合ったりする人があちらこちらにいた。私は交差点で人とぶつかったことを思い出し、新年一発目の人との会話が「あけましておめでとう」ではなく「すみません」であったことが悲しくなり、ますます泣きながら歩いた。

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