夢日記

書き留めた夢を文章にして公開しています

210325

 両親とショッピングセンターに来ていた。別々に行動していた母が上の階に来てくれというので、父とエレベーターに乗って移動するが、母のいる階に着き父がエレベーターから降りると、すぐにドアが閉まってしまい、私はひとりエレベーターの中に取り残されてしまった。急いでひとつ上の階のボタンを押すと、上の階の床がちょうど私の首もとに来る中途半端な位置で止まってしまった。床に手をかけてよじ登ろうとしたが、うまくいかないので諦めた。再びエレベーターが動き出し、もう一度上の階のボタンを押すものの、今度はなぜか停まってくれず、どんどん上っていってしまった。エレベーターは透明なガラス張りなので、階下にいる両親がどんどん小さくなっていくのが見えた。

 最上階から3つほど下の階でようやくエレベーターが停まり、外に出ることができた。すぐ目の前にはショッピングセンターに併設されている科学館の入り口があった。この科学館は体験型アトラクションの形をとっていて、1階からこの階まで全てぶち抜いた細長い空間の中を、カプセル型シートに座った観客が自由に動いて、映像や展示物を見たり触ったりして楽しむことができるようだった。少し心惹かれたが、両親のもとへ戻らなければと思い直した。エレベーターのボタンを押そうとパネルに手を伸ばすと、ボタンのそばにコイン投入口があるのに気付いた。エレベーターは有料だったのだ。しかし私はお金を持っていなかった。エレベーターは他にもいくつかあり、ぐるっと中心を囲む形で並んでいた。全てのエレベーターを確認したが、どれもコインなしでは乗れないようだった。

 仕方がないので傍にあったエスカレーターで降りることにした。急がねば、とエスカレーターを駆け足で降りるが、ここで初めて、自分が靴も靴下も履いていないことに気がついた。エスカレーターを降りる途中、母から、今どこにいるのかを問うメールが来た。返事をする時間も惜しいので、とりあえず下へ下へと急いだ。

 ショッピングセンターには大きな待合所があり、両親はそこにいた。待合所には、空港にあるような長いベンチがいくつか置かれており、ほぼ満席だった。母の左隣が空いていたのでそこに座った。よく見ると、私の座った席だけでなく、その付近一帯だけ妙に空いているのだった。さらにその中央には、手のひらサイズの大きなクロワッサンが大量にひっつきあって塊状になったものが置かれていた。周囲の様子から察するに、さっきまでここにホームレスがいたようだ。

 右の方にいた親子連れが席を立って、待合所を出て行こうと我々の前を通っていった。2,3才の子どもが牛乳を吐きかけており、近くの海に出しに行こう、などとその子の両親が話していた。

 その様子を見ていた母が、ふと思い出したように、自分が子どもの頃の話を始めた。母は突然、漫画『エデンの東北』の主要キャラクターである「おねえちゃん」になり、私は彼女に案内される形で当時の様子をありのまま見ることになった。

 当時小学生だった母は、母の母、つまり祖母からいつもより多い額のお小遣いをもらい、自分と仲の良い友達6人くらいにお菓子をプレゼントするのだと張り切っていた。しかし祖母は、そのお金を、それほど仲良くもない他の同級生の女の子と遊ぶのに使うよう、母に命じた。祖母がなぜそんなことを言うのか分からないまま、母はその子を遊びに誘った。その同級生は小学生でありながら髪を染めており、いつも気取ったふうに喋る子であった。母の誘いにも、あんたみたいな地味なやつと遊ぶなんて…などという嫌味をつけて断っていた。

 なんだかんだで母とその子は休日に街へ遊びに出かけることになったのだが、その同級生は別人のような姿で母の前に現れた。明るい色でくるくる巻きにしていた髪は黒くストレートになり、前髪は目にかかって表情はよく見えず、何より、あれほど教室でお喋りだったその子は、学校外では全く無口だったというのだ。