夢日記

書き留めた夢を文章にして公開しています

211203

 私がお茶を飲みたいと言うと、父は席を立って手洗い場の方へ向かった。小学校の廊下にあるタイプの洗面台の上には、他の客のコップがいくつか重ねておいてあり、中に飲みかけの麦茶が少しずつ入っている。父はそれらをひとつのコップに集めて私の飲み物を作ろうとしている。母が汚いからやめろと言うと、父はコップを傾けて中身を地面に捨てた。洗面台の上には飲み終わったペットボトルやコップがずらっと並べられている。食べ終わった弁当のゴミとかも混じっている。主催者は分別を呼びかけているのになんて有様だ…。全部片づけるべきだろうか…。と考えていると、いつの間にか周りにいた人々がいなくなっていた。

 右端前方に数人がかたまって整列しているのが見える。後方の壁際には、彼らに向かい合うように、ピンクや黄色、水色などの淡い色の浴衣を着た人たちがパイプ椅子に座り、こっちにおいで、と私に手招きをしている。私はあんなにきれいな浴衣は来ていないから今あそこに行くと浮いてしまうな…。ちょっと行きづらいな…。パフォーマンスが始まり、演者が私のすぐそばを走り抜けていく。とにかく急いで移動しなければ。

 隅っこのやぐらにのぼる。ちょうど塀が私の背丈ほどあり、場内高くに投げられたボールが、時おり塀の上に顔をのぞかせる。次々とトスが上げられ、その間隔がだんだん均一になり美しさを見せる、と思いきやたまにトスに失敗してボールが横に逸れたりする。今まで何度もこうやってこのパフォーマンスを見てきたが、それもこれで最後なのだ…と感慨深くなる。泣きそうになるのをごまかそうと塀を少し蹴ると、思ったより大きく音を立ててやぐらが揺れた。

 やぐらに知らない2人組が入ってきた。今はひとりになりたくて、入れ違いにここから出ることにした。少しかがむようにして走りながら上を見上げると、天井が遠くに見え、小人のような気分になった。2人組は何か話しながら後ろからついてくる。ふすまを開けて、胸のあたりにある敷居に飛び乗る。私だって別に運動神経悪いわけじゃないんだぞ…と虚勢を張ってしまった。彼らはそんなこと気にも留めていないことは知っているが、こうせずにはいられなかった。

 グラウンドのコーナーをあたかも選手のように走りながら客席へ戻る。選手宣誓の時間で、政治情勢の問題提起をする代表選手の声を聞きながら母の隣に座る。母が汗臭いよ、と言ってビオレの汗拭きシートを渡してくる。私は汗を拭くためといって大きな麻の布を頭からかぶり、泣いているのをごまかした。