幕末日本に修学旅行に来ている。各班に上司と部下の2人の武士がついて案内してくれた。街には漆喰の建物が立ち並び、青い空に白い外壁がよく映えて眩しい。
宿へ戻って自分たちの部屋へと向かう。部屋は洗面所を挟んで手前と奥に分かれており、自分の布団が敷いてある奥の部屋に向かおうとすると、上司の武士がちょっと待って、と行く手をふさいでくる。奥の部屋でミッフィーが寝ているから、という上司。奥を覗くと、布団から白い耳が2本飛び出しているのが見えた。私は反射的に「かわいい!」と叫んでしまった。そう、我々の班にはミッフィーがいるのだが、彼女は観光の途中に、眠いと言って宿へと帰っていたのだった。
上司の武士の言葉を聞き、みんな手前の部屋にたむろしている。しかし私は自分も眠いので、どうしても奥の部屋へ行きたかった。それにミッフィーの眠っている顔を見てみたかった。そこで、
「でも彼女が抜けたのは4時間くらい前のことだから、そろそろ起きるんじゃないですかね?」
と言って、なんとか奥の部屋に行かせてもらおうとした。それに対して上司は、
「もう一回かわいい!と叫んだら起きるかもね。」
などと返してくる。確かに先ほどはうっかり大声を上げてしまったのだが、直接たしなめず遠回しに非難するような言い方がやや癇に障る。
募る不満を抑えて、とりあえず中央の洗面所で歯を磨くことにした。用意されているシリコンのコップはとても汚く、歯よりもコップを磨きたい、という衝動に駆られる。
隣に部下の武士がやってきて、横並びになって歯を磨く。(あのような上司のもとで働くなんて、よくやるなあ、でもさっきは私に腹を立てていただけで、普段は温厚なのかもしれない)と考えながら部下のほうをちらりと見ると、かなり疲れた様子である。
一緒に歯を磨き続けるうちに、彼の日頃のストレスが伝わってきたようで、私の喉の奥から長い髪の毛が数本、束になって出てきた。慌てて飲み込んだりしないように、努めて冷静につかんで引っ張り出そうとするものの、なかなかうまくいかない。喉がつかえてとても苦しい。