夢日記

書き留めた夢を文章にして公開しています

211030

 私は2つのPC画面を前に作業をしていた。左の画面には現在進行形で進めている修論が書かれたWordファイルが、右の画面には参考になりそうな枠組みの説明が記載されたpdfファイルが、それぞれ開かれている。私はとりあえずいつでも説明を読めるように、「Ctrl+C」キーを押して右画面の文章をコピーし、左画面に貼り付けようと「Ctrl+V」キーに指を乗せた。するといきなり

「取り込み後の修正はできません」

というポップアップの注意書きが現れた。何となく嫌な予感がしたが、もう私の指は「Ctrl+V」キーを押す態勢に入っており、やめておこうかなと思った時には貼り付けが完了していた。

 すると案の定、今まで書いていた文章が右画面のpdfデータに全て置き換えられてしまった。「Ctrl+Z」キーを押しても、ファイル上部の一つ前に戻るボタンをクリックしても、ファイルが元に戻る兆しはなかった。せっかく頑張って書いていたデータはどこに行ったのだろう…。初めのうちは、どうせすぐ見つかるだろうと楽観的だったが、パソコン中をくまなく探せど見つからず、もうデータが戻ることはないかもしれないという恐怖が徐々に頭の中を侵食していった。

 (そういえばこれから学部生の時にお世話になった研究室の飲み会があるんだった…。とても飲みに参加する気分ではないけれど、これ以上パソコンをいじっていても何も解決しなさそうだし、気分転換に顔を出すだけ出すとしよう…。みんなに慰めてもらいたいし…。)

フラフラしながら会場へ向かった。

 同期と共に、今回の飲み会場である木造の小屋に着いた。ドアを開けると、入口に研究室のことを最も知り尽くしているであろう先輩が立っていて、我々に紙コップを手渡し、缶ビールを注いでくれた。私は酒には弱いものの、初めの一杯くらいはそこそこの量を飲むつもりでいたが、彼はほんの数滴ビールを垂らしただけで、缶をサッと下げてしまった。しばらくポカンとしてしまったが、すぐに健康管理とビール節約のためと理解して部屋の奥へ進んだ。

 2階ではすでに先生方が酒盛りを始めている。先生方は入ってきたばかりの我々に気づき、杯を持った手を軽く上げた。我々も1階から見上げる形で挨拶をする。お変わりなさそうで何よりである。向こうのテーブルにはひとつ上の先輩と部活の同期が並んで座っている。なぜ全然関係ない部活の同期がいるのか分からないが、工学部出身でコンピューターに明るそうな彼であれば、消えてしまったデータを元に戻す方法を知っているかもしれない。

 事の次第を説明し、何とかならないか尋ねてみる。親身にいろいろ試してくれるが、どれも一度は試してみたやり方である。「これじゃない?」と言われて開いたファイルは「非完全説明的な枠組み」という名のExcelファイルである。名前からして違いそうだし、開いてみればやはり上書き後のファイルである。

 暖房の効いた床に座って作業しているせいか、だんだん暑くなってきた。と思っていたら、目が覚めた。暑く感じたのは布団のせいだろう。左手首に鋭い痛みを感じる。出して見ると中央部を流れる2mmほどの血管がスパッと斜めに切れている。しかし血は全く流れていない。どこからともなく血管を何本か取り除くことになってしまった人による注意喚起が流れてくる。