夢日記

書き留めた夢を文章にして公開しています

210619

 小さな店が軒を連ねる商店街を学校へ向かって歩いている。学校へはもうずっと行っていない。隣を歩く友人も、別々の学校に通ってはいるが、不登校仲間である。もしひとりだったら、この時点で引き返していたかもしれないと思う。ちなみに久しぶりの登校日だが、ふたりとも大遅刻である。

 先に私の学校が見えてきた。細長いビルの中を学校として使っているので、一見すると会社の事務所のようでもある。ここに学校があることに道行く人は気づいているのだろうか。学校前で友人とは別れて、入り口前の階段を上ってビルに入った。1階の受付には、これから入学手続きをする人もちらほらおり、なるほどそんな時期か、と横目に見ながら2階へ向かう。

 階段を上がるとすぐに在学生用の窓口が見えてきた。金縁の眼鏡をかけて青いスーツを着た事務員のおじさんが向こうに座っている。窓口のアクリル板の右下には私の名前が書かれたカードが貼り付けられていた。私はそれを確認すると、窓口のおじさんに自分の名前を伝え、クラスと出席番号、席の位置を尋ねた。おじさんはどこからか分厚いファイルを取り出し、私のクラスの情報が書かれたページを開いて、どこに座ればよいか教えてくれた。教室へ向かおうとすると、おじさんが私を呼び止めて、河内さんの息が臭いから、さりげなく気づかせて改善してもらえないか、と頼んできた。私はその河内さんが誰なのかさえわからなかった。

 教室に入って、自分の席に向かう。一番後ろの列の窓際から3番目が私の席であった。休み時間なので、私の席の周りではクラスメートであろう人たちがおしゃべりをしている。みんなと仲良くならなくては、と意気込んで

「おはようございます。」

と挨拶をするが、想像以上にか細い声になってしまい、情けなくなる。みんなは、

「いや、ネタが分からないから…」

と申し訳なさそうに返してきた。どうやらコントだと思われたらしい。

 しかしここに来てやっとわかった。おじさんは私が今日のうちに河内さんと話をすることになると、初めから知っていたからあのような頼みごとをしてきたのだ。河内さんは私の隣の席であった。しかし彼女と近くでしゃべっていても、全く嫌な臭いはしなかった。

 次の時間は大講堂への移動があるらしく、みんな慌ただしく準備している。しかし私はどうしてもトイレに行きたくて、河内さんに後から行くから、と伝えると、言われなくても先に行くよ、といった感じのそぶりをみせられた。トイレで用を足していると、左側から毛むくじゃらの蜘蛛が飛び出してきた。ドアに茶色いリュックを掛けていたが、蜘蛛がそこに飛び移ると、蜘蛛の体がリュックと全く同じ茶色に変化した。ここまで完璧な保護色もめずらしいな、と感心していたが、左手に蜘蛛の巣が巻き付いて不愉快になった。

 正面右手にトイレットペーパーホルダーが設置されている。ホルダーには左右に並んで2つのロールがセットされているのだが、今、蜘蛛は左側のロールにいる。左側のロールはもうほとんど紙が残っていない。右側はまだ設置されたばかりの新しいロールである。これは今すぐに右側のロールから紙を引き出さないと、いつ蜘蛛が飛び移ってくるかもわからない、と思いたって手をかけた瞬間、狙ったかのように右側に移ってきた。私はペーパーを引きだすモードに入っていたため、そのままロールを2,3回転させてしまった。蜘蛛はホルダーの蓋に引っかかったのだろうか、ぐちゃぐちゃになってロールにべっとりと貼り付いていた。