231102
いつもの5人組で訪れたその店は、1階が広々としているのに対し、2階は狭く、少し座りづらい構造になっていた。以前来たときは予約なしでも1階に通してもらえたが、今回は満席だったので、2階へ案内された。2階もほぼ満席で、なんとか5人座れるくらいであった。
「1階の客に交渉して2階へ移って貰えばよかったのに」
と誰かが言う。
ちょっとそれはいかがなものか、と反発しようとすると、隣の団体客のひとりが「勝手なことばっかり言いやがって」と声を荒げた。彼の言うことには全面的に賛同するが、ちょっと呟いただけの言葉に強い口調で突然割り込まれたので、みんなが煙たがっているのに加わり、私も迷惑そうな顔をしてみせた。
しばらく店で過ごし、さあそろそろ帰ろうか、と席を立とうとするが、2人ほど、奥の方をじっと見て動かない。彼らの視線の先には、和装の老人が畳の上に立っていた。落語でも始まりそうな雰囲気だったが、老人は組み手の達人であり、これからみんなで彼の指導を受けることができるらしい。
上裸になり、ナイフを両手に持ち、あれやこれやと動いていると、ドアの向こうに何かただならぬものの気配を感じた。恐る恐る近づくと、突然、空中に手が現れた。恐れ慄いていると、続けて子どもの頭が現れた。それぞれ空中に浮かんでいる。手とは握手を交わし、子どもの頭は包み込むように抱えて撫でてあげた。
すると子どもは全身の姿を現し、老人と共に棺に入り、膝を抱えた。いつのまにか、いつぞやにお世話になったGLも2人に挟まれて膝を抱えている。
撮った写真を共有してほしいと誰かが言うので、カメラを回収しに祖母を探す。そういえば母から受け取った巨大なブロッコリーを返品しなければならないのだった。八百屋に向かっている途中、母を見つけた。大声で呼びかけても気がつかない。持っていたブロッコリーをやさしく母に向かって投げる。ブロッコリーは母の頭にやさしくヒットし、母はようやく振り返る。
そろそろ時間がなくなってきた。GLに借りた1万円とお礼の品を買いに行かなければならない。GLの所属部署に出向くと、友人が3人、すでに座ってGLと話をしている。私もそこに加わり、返そうとお金を取り出した。はずだった。お金だと思ったものは、コンビニでよく貰うビニールに入ったおしぼりだった。
今度こそお金とお礼の品を調達しに、再び離席する。席を立つ間際、
「こんないい夢を見たんだよ…」
とGLがみんなに語りかけているのが聞こえた。続きが気になるが、とにかく急がなくては。
夢は空を自由に飛べるのが利点である。時短のため、窓から飛び出して、坂の上の商店街へ低空飛行で向かうことにした。
お店でポチ袋を選ぶ。長生きの象徴である鶴は、これから成仏する人には嫌味になってしまうかもしれない。色彩豊かな鯉の柄か、黄土色の大きな月を背景にうさぎがたくさん跳ねている渋めの柄か、どちらにしようか迷う。
でも、もう出発の時間を過ぎているかもしれない。みんなにおいていかれたかもしれない。