220916
車の後部座席で、昔あったような分厚いパソコンを開き、新着履歴に入っていた自分達の話し声の録音を聞いている。明日の集合場所についての連絡を待っているが、未だ音沙汰ない。
中学時代の生物部の顧問だった先生の家に着いた。車を降り、入り口の前に立った。昔、駅の壁に掛けられていたという小さな伝言板や、昭和のレトロな看板が壁にいくつか掛けられている。
中に入ると、魚市場のような薄暗い地下室で、たくさんの人がひしめき合っていた。スリを警戒しながら歩くので、はたから見ると怪しい動きになっているように感じる。向かいから来る子どもたちが、コロナ対策のため、両手をまっすぐ上に伸ばして、「ワニのポーズ」をとりながら横を通り過ぎていく。こちらも真似して両手を上げながら子どもたちの横を通り抜ける。
壁際の床には、ラーメン鍋がずらっと並んで置かれている。後ろで鍋が一つひっくり返る音がした。振り向くと、誰かが床に散らばった具を一つひとつつかんで鍋の中に戻していた。近づき、落ちていたブロッコリーを拾い上げる。ベーコンが不自然に大きいように思う。周りの人たちは誰も手伝ってくれないようだ。
一通り作業を終え、再び歩き出す。それにしても汚い所だと改めて思う。昔の人は凍える中で作業してたと思うと、文句も言いづらいものだが、便利になった今も、みんなつらいものはつらいんだよな、と思う。