もうすぐ嵐が来る。そのことを自分だけが知っている。地面の蓋を開け、人ひとりがやっとすり抜けられるほどの狭さの、筒状シェルターの中に身を隠した。シェルターの入り口は狭いものの、中は生活するには申し分ない広さで、なかなか快適に過ごすことができた。
それからどれだけ経っただろうか。もう知っている人は誰もいないのではないかと思われるほど長い時が経ち、ようやく扉を開けて外へ出た。
びしょ濡れなので服を脱いだ。着替える服を買いに出た。服屋で物色するが、どれも高い。服を買う金がないのでさっき脱いだ服を着た。簡単に食料だけ買い込んでシェルターに戻った。
シェルターには外から見える大きな窓がある。外から丸見えなのに気づき、ブラインドを閉めたが、部屋の存在に気づいたみんなが入ってきた。ここで講演会を開くことになり、ビデオを撮ってくれと機器を渡されるが、ビデオモードをオフにしてしまったみたいで、再設定の方法もわからないまま、一つ目の演目が終わろうとしている。