夢日記

書き留めた夢を文章にして公開しています

210314

 駅の広場で電車が来るのを待っている。広場を囲むように駅ナカの店が2階建てで連なっているが、まだ早朝のため、軒並みシャッターが降りている。広場には白い丸テーブルや椅子がいくつか置かれているが、人はまばらで、左壁の上方部にある擦りガラスの窓からうっすらと光が差し込んでいる。

 私は、こんな早い時間でも開いている本屋が、閉まっている店々の奥に隠れていることを知っていた。非常階段を上って本屋に行くと、このことを知っているのは私だけではなかったらしく、そこだけ昼間のような賑わい具合を見せていた。特に用事もなくぶらついていると、表紙の綺麗な絵本に目がとまり、ぱらぱらとめくってみた。社会主義と資本主義の対立と止揚を、大自然の中にぽつんと建つ家に暮らす兄妹を通して描いたものであると解釈し、購入はせずに店を出た。

 電車が来たので乗り込むと、新幹線のような座席配置になっている。空いている席を探して進んでいくと、左に以前お世話になった会社の社長が、右にあまり打ち解けられなかった大学の同期が座っており、2人とも通路に足を出して寝ていた。慎重に通り抜けようとしたが、足がぶつかって社長を起こしてしまった。社長の隣には同じくお世話になった関係者の人がいたため、3人でしばし懐かしく近況を語り合った後、再び通路を進んで行った。彼らの後ろにはラグビーの選手と思しき女性たちがかたまっている。座っている人もいれば立っている人もいる。みんな上にはピンクの縦ストライプのシャツを着て、下には深緑のスカートズボンを履いている。まるで桜餅のような色合いで、奇抜なユニフォームだなと思いながら通り過ぎる。

 電車が最寄駅に着いたので、ホームに降りる。この日はそこそこお洒落をしてきたつもりだったので、改札に向かいながらガラス窓に写る自分の姿を無意識に確認してしまう。着ていたワンピースに不自然なところはなく満足するが、何かが足りないと感じ、すぐにウエストポーチを電車に置いてきたことに気づく。

 私は何かを描く仕事をしており、そのために必要な大切なものがポーチの中に入っている。締め切りが迫っていることもあり、慌ててホームに落ちていたメモ帳を手に取り、何か役に立たないかとぺらぺらめくるが、誰かが英語の勉強をやり込んでいた記録が残されているだけで、どうにもなりそうにない。ふと顔をあげると、待合室の壁に映像作品の原画が貼られており、とうとうこれを自分のものにしてしまおうかなどと考え始める。