夢日記

書き留めた夢を文章にして公開しています

210312

 年末ということで、父方の祖父母と両親と私とが集まってこたつを囲んでいた。祖父母が年越し蕎麦をお土産に持ってきてくれたらしい。開封してお湯を入れると、汁がこたつの天板と同じ暗い赤色になった。私の隣に座る祖母が、乾燥したネギや椎茸や、きんとんのようなものを私の器に入れてくる。戦時中はよくこれを蕎麦に入れて食べていたという話を聞き、では今食べているのは戦時中と同じものなのかと思いつつ、そうはいっても食べる量は今よりずっと少なかったのだろうな、と器いっぱいに入った蕎麦を見ながら思った。

 新年一発目の朝が明け、家の外に出ると、そこは昔住んでいた集合住宅の6階の廊下で、当時のクラスメートたちが並んで外を眺めていた。私も並んで外を眺めた。澄み渡った冬の空には雲ひとつなく、遠くのビル群の向こうに、巨大な大仏や観音像が列をなしているのが見えた。クラスメートが持っていたカメラを借り、大仏たちをシャッターに収めた。

 街を縦横無尽に走るリフトに乗ることになった。いつからこの街はこんなに芸術的になったのだろうか、建物と建物の間には、高頻度で太陽の塔のような巨大な彫刻が置かれている。高架下に差し掛かる手前で、宙に浮く天女の彫刻を見たときには本当に驚いた。隣にいた友人に教えられてよくよく見ると、天女は宙に浮いているわけではなく、空と同じ色をした氷山のような台座に腰掛けているだけなのであった。私たちは朝日を浴びて光り輝く天女を見上げながら、レールの続く高架下へ吸い込まれていった。

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