夢日記

書き留めた夢を文章にして公開しています

210513 - 1

 指導教員の担当する授業を履修しているのだが、今日が自分の発表担当日だというのに少しもスライドが完成していない。授業は1限で8時45分から始まるので、あと1時間弱残っているが、とてもそれだけの時間では終わりそうにない。どこからどう見ても絶望的な状況であるが、授業をバックレる勇気もなく、なんとか間に合わせるしかないと、バスの中で焦ってスライドを作っている。

 駅に着き、構内の時計を見ると、もう8時を過ぎている。いよいよどうしようもない状況に自分が置かれていることを実感し始め、電車がホームに入ってきた段階で、とうとうすべて投げ出して遠くへ逃げてしまおうと決意する。誰にも見つからないように最後尾の車両に乗り込むが、同じ制服の人が乗っているではないか。その人は知り合いでないのだが、降りるべき駅で降りないことを不審がられるのが嫌だった。先ほどの決意はすぐに打ち砕かれ、私は重い足取りで学校へと向かった。

 学校に着くとすでに9時45分になっていた。発表スライドが未完成の上に1時間の遅刻ともなると、さすがに授業へ出向く気はすっかり消え失せてしまった。後のことを考えると地獄だが、ひとまず今は何もする必要がないという解放感すらあった。校内をうろついていると、友人を見つけた。彼女もサボりだろうか。仲間を見つけたような気持ちになり、少し救われた。

 声をかけ、一緒にサボろうと提案すると、彼女は快く承諾してくれた。今の私にとって、彼女は女神のような存在だった。とにかく怒らないでそばにいてくれることがありがたかった。自分の過ちを話す勇気はなく、他愛もない会話をしながら2人で歩いていたが、心は完全に彼女に依存していた。

 彼女は相談室に向かうところだったようで、私は当然のように入口までついていった。ドアをノックしても返事がないので開けてみると、先生は不在のようだった。仕方ないのでそのまま中庭でおしゃべりを楽しむことにした。中庭には芝生が広がっているが、人工的な手入れはされておらず、ところどころに低木や雑草が生えている。あれは自然にできた形なのだろうか、クッションくらいの大きさの綺麗な円形のコケが固まって生えていたりもする。ちょうど梅雨入りで際立つ草の青さが視界いっぱいに広がり、私のすさんだ心を癒してくれる。

 友人がふいに、

「あ、やちめだ!」

と言って右の方を指さした。指さす先を見ようとすると、急に自分が鼻先まで水に浸かっていることに気付いた。中庭は窪地になっており、雨が降ってきたため水が溜まってしまったようだ。改めて友人の指す方向をみると、向こう岸にカエルがいた。大きなまんまるの眼が特徴的で、サンリオの某キャラクターを彷彿とさせる可愛らしいカエルであった。信楽焼の狸のように、ちょこんと座ったまま全く動かない。「やちめ」とは不思議な名前だな、と思いながら池から這い出る。雨は当分止みそうにそうにない。