夢日記

書き留めた夢を文章にして公開しています

210302

 私は中学生くらいの女の子の家庭教師を始めることになった。その子の家に顔合わせに行き、カードをプレゼントして他愛もないおしゃべりをした。勉強を見るのは次回からということで、その日はそのまま帰ることにしたが、部屋を出たあと、あの子がさっきあげたカードにどんな反応を示すか気になり、ドアを少し開けて中を覗き見た。しかし、ちょうど覗きをしているところを彼女の母親に見つかり、かなり渋い顔をされてしまう。何か言われる前にと逃げるように彼女の家を後にし、自宅へ急いだ。

 道行く途中、建物の2階にあるカフェに目が留まる。よほど気になったのか、無意識のうちに店内に入っていた。一見普通のカフェなのだが、よくよく見ると、グラスに入れられたワインなどの細かいところは、右側に重力が働いているかのように作り込まれている。椅子やテーブルなどは普通に配置されているため、すぐには気付かなかった。

 どういったコンセプトなのか不思議に思っていると、このアイデアに至った経緯を店員さんが教えてくれた。どうやら、長い間引きこもっていた男が、数年ぶりに外に出たときに得た印象をそのまま再現しているらしい。当時の男の見た光景を私も見せてもらうことにした。ドアを開けて飛び込んできた広い庭の風景を見て、なるほど、確かに右側に重力が働いているのを感じる、と納得してカフェを出た。

 自宅に着く。確かに覗きは良くなかったと思いながら2階へ上がり、仕事で外出中の父の部屋に入った。布団が敷きっぱなしで、段ボールやら本やらが散乱している。片付けの苦手な自分が言えたことではないが、これはなかなか…などと思っていると、母が隣のベランダに洗濯物を干しにやってきた。

 母につられて私もベランダに出て、ぼーっと外を眺めていると、向こうから高校生の男女2人組がやってきた。ご近所さんなのだろうか、自宅の下を通り抜けていったようだ。またしばらくすると、今度は高校生の男子2人組がやってきた。高校生がこんなにたくさん近所にいたかしら、と訝しんでいると、彼らは隣の家に入って行き、2人とも同じ回覧板を持って出てきた。なるほど、回覧板を受け取りに来たのか、と納得しつつも、家の外へ出て様子を伺う。

 すると彼らはなんと、堂々と我々の家の庭を突っ切って行くではないか。

「ひとの家の庭に勝手に入んなや!!」

と私が叫ぶと、母がキョトンとした顔でこちらを見てくる。母の普段の性格からして、私よりもこういったことを気にしそうだと思っていたため、私も驚いていると、母が言った。

「ここって私有地なの?」

 改めて周囲を見回すと、私の気付かないうちに庭については共同所有になっていたようで、こちらの家の庭とあちらの家の庭の境界線が曖昧になっていた。